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福利厚生費を活用して節税しよう! ②従業員社宅制度

公認会計士・税理士の古谷です。今回は節税の中でも王道といえる社宅制度について改めてメリットや要件、注意点を解説していきたいと思います。まだ社宅制度を利用していない経営者の方はぜひ参考にしてみてください。


【目次】

・社宅制度とは?

・社宅制度はなぜ節税になるのか

・社宅制度と住宅手当の違い

・社宅の費用を経費にできる要件

・具体例を使って解説

・まとめ



1. 社宅制度とは


社宅制度とは会社が従業員のために住宅を用意し、貸し出すことを言います。社宅には会社が物件を購入し従業員に貸し出す「社有社宅」と会社がマンションの一室などを借りて従業員に貸し出す「借り上げ社宅」の2種類があります。



2. 社宅制度はなぜ節税になるのか


社宅と聞くと節税というイメージを持つ方も多いかと思います。ではなぜ社宅は節税になるのでしょうか。会社は従業員のために借りた物件の家賃を不動産会社に支払い、従業員から一定の賃料を受け取ることになりますが、この差額である会社負担分は経費として認められます。そのため法人税の節税になります。



3. 社宅制度と住宅手当の違い


社宅制度とよく似た福利厚生に住宅手当というものがあります。しかし実はこの二つには大きな違いがあります。

住宅手当は給料と同様に金銭で支給されることから給与という取り扱いになります。そのため、住宅手当には所得税がかかり、社会保険料の対象にもなります。

一方で社宅制度は後ほど説明する要件を満たしていれば所得税や社会保険料の対象にならないため、従業員の手取り額に差が生まれます。

また会社にとっても住宅手当を支給すると社会保険料の対象となり、会社負担分の社会保険料が発生してしまいますが、社宅制度の場合には社会保険料の対象にはならないため会社負担分の社会保険料もかからずその分支出が少なくなります。



4. 社宅の費用を経費にできる要件


社宅制度は住宅手当と違い、給与とならないと説明しましたが、そのためには以下の要件を満たしている必要があります。


従業員から賃料相当額の50%以上を受け取っていること


ちなみに上記の「賃料相当額」とは以下の①から③の合計額と定められています。

①    「その年度の建物の固定資産税の課税標準額」×0.2%

②     12円×「その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル)」

③     「その年度の敷地の固定資産税の課税標準額」×0.22%


この金額の50%以上を毎月従業員から受け取っていれば給与とされずに福利厚生費として経費に計上することが可能となります。

しかしこの計算を行うことが難しい場合には単純に家賃の半分程度を従業員から徴収しておくことで、ほとんどの住宅で要件を満たしますので、実務的にそのようにしている会社も非常に多いです。



5. 具体例を使って解説


では具体例を使って福利厚生費にできるかどうかを判断してみましょう。


①     賃料相当額10万円 従業員負担0円

 → × 無償で従業員に貸し出しているため10万円全額が給与とされてしまいます。


②     賃料相当額10万円 従業員負担4万円

 → × 負担割合が40%となり要件を満たさないため、差額の6万円について給与とされてしまいます。


③     賃料相当額10万円 従業員負担5万円

→ 〇 負担割合が50%で要件を満たすため、差額5万円については福利厚生費として経費計上となり給与課税はされません。



6. まとめ


今回は節税対策の中でも王道といえる社宅制度について解説しました。社宅制度は経費になり法人税を節税するだけでなく、従業員の手取りが増えモチベーションアップにつながるという面でもメリットがありますので、まだ導入していないという経営者の方はぜひ一度検討してみることをおすすめします。

もし社宅制度の導入やその他節税対策でお困りの方、不明点をお持ちの方はぜひ一度サミット会計事務所までお問い合わせください。

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